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「新聞紙にクレヨン画」が心身の健康維持、脳の活性化にも貢献

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絵の素人でも手軽に始められる

「新聞紙にクレヨンで絵を描く」という画法を、今から20年以上前に確立したのは、画家であり翻訳家の、喜多としたか先生です。

かつて喜多先生が講師をしていた、ある美術史講座が、この画法の出発点です。

「エコール・ド・クレヨン」の磯崎正幸さんがこの画法を知ったのは、会社を定年退職した直後です。

それまでは、ごく普通のサラリーマンで、絵画の勉強はもちろん、絵心もなかった磯崎さんが、「新聞紙にクレヨンで絵を描く」アイデアに出合ったおかげで、絵を描くことが趣味となりました。それから15年以上も続けていることになります。

現在は、喜多先生主宰の絵画の会「エコール・ド・クレヨン」(クレヨン派という意味のフランス語)の世話人をしながら、会の皆さんと定期的に集まって、クレヨン画を描く活動を続けています。

絵を始めてからは、物事をよく観察するようになりました。50代のころより、70代の今のほうが、「知りたい」「見たい」という知識欲が旺盛だと磯崎さんは自負しています。そういうこともすべて含めて、クレヨン画は、磯崎さんの心身の健康維持、脳の活性化にも貢献してくれていると言えるでしょう。

それにしても、なぜ大の大人がクレヨンを使って絵を描くのか、しかも、わざわざ活字が印刷されている新聞にと、疑問を持った人も多いでしょう。

クレヨンを使う3つのメリット

まず、クレヨンですが、クレヨンを使うメリットは、主に3つあります。

1つ目が、その手軽さです。

クレヨンは、水彩や油絵と違って、筆や水を使いません。安価で、どこにでも売っているものです。

2つ目が、クレヨンの持つ豊かな表現力です。

クレヨンは、顔料にロウの油の成分を混ぜて作られているため、油分が多く、重ね塗りがしやすいのです。重ね塗りができるということは、色の濃淡や明暗といった、表現の幅が驚くほど広がります。

また、クレヨンは発色がよく、透明感や光沢を出すこともできます。棒状のクレヨンは、「線描き」にも「面描き」にも適していて、絵のテクニックがない人でも表現しやすいわけです。

3つ目が、クレヨンの活用性と「持ち」のよさです。

クレヨンは、新聞紙はもちろん、どんな紙にも描くことができます。年月による色あせも少ないので、比較的長く保存できるというメリットもあります。

新聞紙に描く3つの理由

次に、わざわざ新聞紙を使う理由についてです。

先ほど、クレヨンは油分が多いという話を出しましたが、新聞紙に印刷されているインクも、実は油分が多く含まれています。ですので、お互いが非常に相性よく、クレヨンが新聞紙面の上でよく滑り、色の定着もしやすいのでしょう。

もう一つ、新聞の活字や写真が「下絵」の役目をしてくれる長所もあります。

新聞紙上の文字が、クレヨン画のよい「隠し味」になって、まるで絵の具を何色も混ぜて出すような絶妙な色合いを出すことができるのです。磯崎さんの経験でも、画用紙よりも新聞紙に描くほうが絵に深みや味が出ます。

そして、新聞紙の持つ「気らくさ」も大きな魅力でしょう。

新聞紙なら、サイズが自由に選べます。当然ながら、紙にかかるコストは「ほぼゼロ」なので、それだけ失敗を恐れずに気らくに描けるのです。

美術の世界では、よく白紙を前に、何を、どこから描いたらよいか、途方に暮れてしまう「白紙恐怖症」が知られていますが、新聞紙には、それがありません。

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