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楽しく歩ける「ひらめきウオーキング」で脳の海馬の神経細胞を増やし物忘れを防止

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認知症予防には毎日の運動が重要

誰しも、年を重ねると物忘れが増えてきます。これは、ひと言で言えば脳の老化です。

脳の老化の主な原因は、脳細胞の衰えです。脳細胞は、加齢とともにどんどん減っていきます。すると、判断力や理解力、記憶力といった認知機能が低下するのです。こうした脳の老化を年のせいにして放置しておくと、認知症のリスクが高まります。

群馬大学大学院保健学研究科教授の山口晴保先生は、30年以上認知症の研究を続け、その結果、認知症予防には毎日の運動が重要であることがわかりました。

運動をすると、筋力がアップするだけでなく、BDNF(脳由来神経栄養因子)というホルモンがたくさん分泌されます。このホルモンは、記憶に関係する脳の部位「海馬」の神経細胞を増やし、大きく育てる役割を果たすのです。

漫然と歩いても長続きしない!

ちなみに、脳の中でも海馬だけが、年を重ねても新しい神経細胞を生み出す、頼もしい部位なのです。さらに、運動の中でも有酸素運動が、脳の司令塔である前頭葉の働きを活性化することがわかっています。

つまり、脳の若返りには、有酸素運動であるウオーキングが最適なのです。とはいえ、ただ漫然と歩いているだけでは、運動もつまらないものになり、長続きしません。

そこで、山口先生は、運動を継続させるために工夫が必要だと考え、楽しく歩ける「ひらめきウオーキング」を群馬県高崎市のスタッフとともに考案しました。

ひらめきウオーキングとは、その名のとおり、歩きながらひらめくことを楽しむものです。ひらめくことで、脳そのものが刺激され、ぐんぐん活性化します。そして、ウオーキングが楽しくなり習慣化するのです。運動と脳活性のダブル効果で記憶力など認知機能が高まり、物忘れや認知症を予防できるというわけです。

ウオーキングの輪が広がっている

この効果を実証するために、山口先生は2010年に高崎市と協力して、ひらめきウオーキングを街ぐるみで実践しました。物忘れを自覚する高齢者(70~80代)約200人を、ひらめきウオーキングを3カ月間実践するグループと、何もしないグループに分けて、認知機能の変化をテストしました。

テストは、1分間で動物の名前をいくつ挙げられるか、というものでした。結果は、ひらめきウオーキング実践グループが、正解個数を向上させ、脳の若返りが認められたのです。

山口先生は、この研究結果をアメリカ老年医学会の国際誌に発表しました。それからは、さまざまなメディアから注目され、テレビ番組などで取り上げられました。現在では、全国の地方自治体や介護予防関連の関係者から、多数の問い合わせがあり、ひらめきウオーキングの輪が確実に広がってきています。

自分が興味を持てる課題を決める

それでは、ここでひらめきウオーキングのやり方を紹介しましょう。

用意するものは、歩数計とノートです。これは、毎日の歩数を測り、それを記録するためです。

歩き方や1日の歩数に決まりはありません。健康増進には早歩きや1日1方歩などが推奨されますが、ひらめきウオーキングは楽しさを最優先します。「ただ歩くのではなく、楽しいことをしていたらいつもより長く歩いていた」ということが大切です。

楽しいこととは、ひらめきです。漠然とひらめきを待つのではなく、歩く前に、自分が興味を持てる課題を決めます。

例えば、「季節の花を探して俳句を作る」「気に入った植物の写真を撮る」など創作につながることや、「庭のきれいな家を探す」「近所の歴史のある場所へ行ってみる」など、探索につながることでもいいでしょう。

また、「出会った近所の人にあいさつをする」や「散歩中の犬に話しかける」など、人や動物との交流でもいいのです。

そして一日の終わりに、歩数計を見てノートにその日の歩数と、課題についての楽しかったコメントをメモします。

引き算しながらその場で足踏みでもOK!

楽しいと感じたことを思い出すと、脳の中で意欲や快感に関係するドーパミンという神経伝達物質が分泌します。それによって、前頭葉の働きが活発化し、学習機能ややる気がアップするのです。

実際、ひらめきウオーキングを始めた人たちは、教室終了6カ月後に調べてみると、この方法で85%の人が毎日の運動を習慣化できていました。歩数も4000歩から7000歩、8000歩と右肩上がりに伸びていきます。

できれば、ご近所で仲間を募って、週1回のひらめきウオーキング報告会をしてもいいでしょう。そのさい、それぞれの課題やその達成度を発表します。そして、お互いを褒め合います。褒めることも、褒められることもドーパミンを分泌します。

しかし、高齢者の中には毎日外出できない人もいるでしょう。そんなときにお勧めなのが、「その場でひらめきウオーキング」。

これは、家の中を歩き回るのではなく、その場で足踏みするだけです。太ももを高く上げると運動効果がより得られます。そのさい、ひらめきが欲しいところですが、景色などによる刺激がないので難しいでしょう。

その代わりに、脳内で計算をします。1000から13ずつ引いていくのです。それがゼロに近くなったら、ウオーキングは終了。ひと汗かくほどの運動と脳の活性ができます。

ひらめきウオーキングは、何歳からでも効果があります。体と物忘れ防止と認知症予防にお役立てください。

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